ヨーグルトで善玉菌は増やせません
腸内環境に気を配りヨーグルトを食べている方も多いでしょう。でも、ヨーグルトでは腸に住んでいる善玉菌を増やす事は出来ません。
ヨーグルトの乳酸菌は、胃酸で殺されてしまうからです。たとえ腸にたどりついても腸内に元から住んでいる細菌達からよそ者扱いされ、便と共に排泄されてしまうのです。この事から“通過菌”とも呼ばれています。
腸内の善玉菌を増やすには、ヨーグルトでは役不足という事です。
そして、逆にヨーグルトやチーズなどを多く食べている人ほど腸内に悪玉菌が多い傾向があります。これは、動物性タンパクの過剰摂取によるもの。
では、どうしたら良いのでしょうか???
「みる・よむ・わかる 腸の不思議 監修:医学博士新谷弘実 より」
善玉菌が生きて腸まで届くかは重要でない
腸内の善玉菌を増やすには新谷博士を始めとし、多くの研究者やメーカーが「善玉菌生を生きたまま腸へ届けることが重要」と唱えています。
皆さんもCMで、「生きた菌が腸まで届く!」と聞いたことがあると思います。渡辺謙さんですね。
しかし、「善玉菌・悪玉菌」の名付け親である微生物学者の光岡知足博士の観察では、善玉菌が生きて腸に届くかどうかは関係ないそうです。
100年も前にヨーグルトが体に良いという説を始めて提唱したロシアの微生物学者イリヤ・メチニコフの研究でも、菌が生きた状態で腸に届くかどうかは重要でないとわかっていました。
この話を聞いてビックリされる方も多いと思います。
「生きた菌が腸に届くのが良い」と多くの学者や企業が言うのは、そうした菌が腸内で増殖して、棲みつくことが腸の健康に好影響を与えると考えているからですが、いくら飲んでも増殖はしない。
ラクトバチルスは耐酸性があるので生きたまま腸を通過して便から検出されますが、それも飲むのをやめると間もなく無くなってしまう。
つまり、生きたまま腸に届いた菌が定住して健康になれるわけではないのです。別のメカニズムなのです。
有益細菌の生死は問わず、腸に届いたものが腸管の免疫系を刺激して善玉菌が増えるということが分かっています。
ただ、そのメカニズムは今でも分かっていません。
新谷博士や各メーカーが言っていることも、光岡博士が言っていることも両方正しいのです。
ただ商品の謳い文句が独り歩きしているのです。
重要なことは、
●死んだ善玉菌でも生きた善玉菌でも腸に届けば、腸管免疫を刺激し善玉菌が増える
善玉菌の生死は関係ない。
●多くの善玉菌を摂る。ヨーグルトでは足りません。
続きは、プロバイオティクス第2回をご覧ください。
この記事は、2018年10月に当院のFacebookページに掲載したものを再掲載したものです。